勘定科目
勘定科目とは、取引内容を分類整理するための名前です。つまり、企業を構成している物やお金、あるいは無形の貸し借りを分類して名前を付けたのが勘定科目です。





そして、これらの勘定科目は、「資産」「負債」「資本(純資産)」「費用」「収益」の大別されています。また各勘定科目別に集計し、貸借対照表や損益計算書の配列通りに集計値を記載するだけで、決算資料が作成できるような構造になっています。
 勘定科目の数について
勘定科目名の数は、企業の大きさによって違いますが、市販の会計ソフトでは、「一般法人」で約200個も登録されて、伝票を記帳する度に、この200個の中から1個を選択しなければなりません。設定されている名称を見ても意味不明な名前や似かよった名前があり、とても覚えきれる代物ではありません。ところが創業してから2〜3年の法人で使用する勘定科目は約30〜40個ぐらいで、他の科目は、ただ登録されているだけで、使われていないのが現実なのです。記帳のことだけを考えるなら、少なければ少ないほど作業が楽なはずです。
ミコシ会計の某クライアント様が年間ご使用された勘定科目(35個)です。
借方勘定科目 貸方勘定科目
 現金  福利厚生費  保険料  売上
 預金  旅費交通費  消耗品費  買掛金
 売掛金  通信費  事務用品費  未払金
 立替金  接待交際費  公租公課  未払法人税等
 車両運搬具  会議費  雑費  預り金
 器具備品  支払手数料  減価償却費  資本金
 減価償却累計額  図書費  雑損出  利益準備金
 仕入  車両費  法人税等  受取利息
 役員報酬  地代家賃    雑収入
もし、上記した数なら、日常の記帳作業がどれだけ楽なことか。
それほど重要でないものや、まれにしか発生しない科目は、無理に独立させた勘定科目を設定しないで、どこか適当なところに含めて整理してしまうのも一方法です。 少し乱暴かもしれませんが、「資産」や「費用」、「負債」、「資本」、「収益」の中での流用なら、間違いは発生しません。そして、何の勘定科目を使おうが税務署は、損金・益金(会計では費用・収益)に誤りがなけれが問題ないのです。細部にわたって勘定科目を設定したところで、それほど細かく事業の現状分析をする能力が貴方にありますか。・・・・失礼

そして、どうしても独立させたい勘定科目に遭遇した時に、その科目を新規登録すれば済むことなのです。

会計を現状把握や事業運営に反映させるなら、むしろ使用する勘定科目をなるべく少なくし、記帳にいらぬ神経や時間を使わずに、スピーディーな経営を目指すべきと考えます。ただし、雑費や雑損出、雑収入などの不明瞭な科目の金額を膨らまさないように注意してください。そして、自信を持って勘定科目を40個以下に絞り込んでください。
 勘定科目名の決め方
 中小企業には、勘定科目名の詳細な規定がありません。ただし、勝手な名前を付けると、その名前が貸借対照表や損益計算書に使用されることから、社外の第三者に決算書記載項目の意味を理解することが出来なくなります。出来るだけ一般使用されている名称が無難でしょう。以下に勘定科目の決め方に関しての注意事項を連記しました。
○、一旦付けた勘定科目名はみだらに変更しない。
一度設定した勘定科目を変更すると複数事業年度や月毎の比較ができないからです。また、期の途中で変更すると、科目集計に誤りが発生し、決算書類にも影響します。
○、同一内容の仕訳で使用した勘定科目は、正当な理由がないかぎり、同一勘定科目で仕分けてください。
「ガソリン代」は、旅費交通費、車両費、消耗品費等のどの科目を使用するかは、会社によって違います。ただし、一旦決めたら以降も同一科目で処理ください。変更すると期間や月間比較ができないからです。
○、必要に応じて勘定科目の新設、廃止・統合ください。
新たな取引きや今まで金額が少なく適当な勘定科目に含めていたが、取引の金額が多額となった場合、勘定科目の新設をしてください。逆に少なくなった場合は、期の最初に勘定科目を廃止又は統合してください。

 詳細管理の補助勘定科目について
勘定科目には、その勘定科目の中を再分類するためと、特殊な項目だけを抽出、閲覧、集計等をたやすくする目的で、補助科目を付けることが出来ます。その主なものを以下に紹介します。
○、預金の補助科目(取り扱い銀行名)
取引銀行が複数ある場合は、銀行名を補助科目とする。(定期預金や口座預金は、別勘定科目の登録が一般的)

○、売掛金の補助科目(売掛金得意先名)
売掛金は、一般的に別の補助簿で得意先別に管理しますが、得意先の数が30前後なら、得意先別に補助科目を設定したほうが一元的に管理できることから、便利です。

○、商品の補助科目(・商品   ・製品  ・半製品  ・仕掛品  ・原材料  ・貯蔵品)
残高が少ないうちは、次のように補助科目を設定して管理することも有効です。

○前払い金の補助科目(・前払金    ・労働保険)
前払金には、労働保険(本人負担分)の特殊な項目の補助科目を設定しておくことが有効です。

○立替金の補助科目(・立替金    ・労働保険)
立替金には、労働保険(会社負担分)の特殊な項目の補助科目を設定しておくことが有効です。

○、無形固定資産の補助科目(・電話加入権   ・施設利用権  ・工業所有権  ・営業権  ・借地権  ・その他無形固定資産)
残高が少ないうちは、次のように補助科目を設定して管理することも有効です。

○、買掛金の補助科目(買掛金相手先名)
買掛相手先の数が20前後なら、相手先別に補助科目を設定したほうが一元的に管理できることから、便利です。

○、未払金の補助科目(未払金相手先名)
未払相手先の数が20前後なら、相手先別に補助科目を設定したほうが一元的に管理できることから、大変有効です。また、クレジットカード等の使用がある場合など特別項目の集計に便利です。

○、預り金の補助科目( ・預り金  ・所得税   ・住民税   ・社会保険)
預り金には、税金や保険金の計上及び納付も回数が多く、それぞれ独自の補助科目を設定することが有効です。
 

 税法上管理のための補助科目
同一勘定科目に集計されても、税法上その内容によって区別する必要がある場合があります。こんな勘定科目は、決算時の集計作業を考慮に入れて、最初から補助科目を設定しておくと大変便利です。以下その内容を紹介します。
○、未払法人税等の補助科目 (・法人税  ・県民税  ・市民税  ・事業税)
未払法人税は次期に繰越すと伝票の明細が無くなり、残高だけが表示されて、像人税や住民税の区別が分からなくなります。このために下記のような補助科目を設定しておけば、次期の期首にもその明細を表示されます。

   
○、公租公課の補助科目(・一般    ・加算金)
公租公課もその税が罰金に類する場合は、税法で損金負参入となり、その区分のために補助科目を設定しておくと便利です。

     
○、接待交際費の補助科目( ・一般    ・小口)
平成18年4月から開始する事業年度における接待費の内、一定の条件下で1人当り5000円以下の場合は接待費から除外され、全額損金参入されることになりました。この区分けも決算時の集計作業を考慮して、補助科目を設定しておくと便利です。

   
○、法人税等の補助科目(・確定法人税  ・確定県民税  ・確定市民税  ・確定事業税)
                                (・中間法人税  ・中間県民税  ・中間市民税  ・中間事業税)
法人税等には、法人税や住民税が混在するのと、さらに中間納付した分も混在し、ますます混乱します。決算集計を考慮して以下のような補助科目を設定しておくと便利です。また法人税等の勘定科目は勘定科目リスト表示する場合、費用の最後になり、科目選択時もそれほど支障になりません。
 
※これら以外にも、「寄付金」や「支払利息」などもその内容によって、税法での扱いが違いますが、発生することも少なく、元の伝票を見てもそれほど手数にならないので、補助科目設定まで必要ないと思われます。
※消費税に関しても課税事業者になった時点で、消費税区分の必要な勘定科目について考慮する必要あります。

Last Updated : 2006.8.15