「売上」や「仕入」の仕訳と原価計算について (三分法)
一般的に売上が発生したときに次のような勘定科目が変動します。
      ○.商品が減少する
      ○.現金(又は売掛金)が増加する
      ○.利益が増加する

例えば原価70円の商品を100円で売上げ、現金入金した場合は、次のように仕訳されます。
           
借方 貸方
  現金 100 70   商品
30  利益

ところが、飲食店などでカレーライスを売上げた場合は、何の商品(材料)が減少し、材料それぞれの原価は何円で、利益は何円あったのかを算出するには、大変な手間がかかってしまいます。このことは販売を主体とする事業のほとんどに該当し、売上の都度、原価計算することは不可能なことです。


そこで、売上を計上したときは、利益の算出を後回しにして、売上だけを管理するようにしました。 
借方 貸方
  現金(売掛金) 100 100  売上

そして一定期間(1ヶ月間又は1期間)の原価計算を以下のように算出し、期間中の売上高から原価を差引くことによって、利益を導いています。(この方法を三分法と呼びます)


                         「売上原価」 = 「期首の商品棚卸高」 + 「期中の商品仕入高」 − 「期末の商品棚卸高」


以上のように売上げた個々の商品原価×台数から集計するのではなく、実際の期末商品棚卸を実施して、売上原価を算出するため期末棚卸額の決定が利益額に直結していて、大きなウエ−トを閉めています。以下、仮の額を使って説明します。
                ※期首商品棚卸高:1,000,000円、当期商品仕入高:7,800,000円、期末商品棚卸高:8000,000

       +期首商品棚卸高 ・・・・  1,000,000円
     +当期商品仕入高 ・・・・  7,800,000円
     - 期末商品棚卸高 ・・・・     800,000円
       当期払出高                  8,000,000円
             =売上原価
                   
             ※売上総利益は損益計算書で下記のように算出されます
   売上合計高 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10,000,000円
   期首商品棚卸高・・・  1,000,000円
  商品仕入高 ・・・・・・   7,800,000円
   期末商品棚卸高・・・    800,000円
   売上原価  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8,000,000円
   売上総利益 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2,000,000円
  • 期首の商品棚卸高は、先期期末の棚卸高を資産勘定の「商品」に期首繰越高として設定しておき、期末に「期首商品棚卸高」に振替る。
    借方 貸方
      期首商品棚卸高 000 000  商品

  • 期中の商品仕入高は、期中の材料等の仕入都度、費用勘定の「仕入」で仕訳記帳し、期末に集計して算出する。
    借方 貸方
      仕入 000 000  現金(買掛金)

  • 期末の商品棚卸高は、期末に実際棚卸を行い、棚卸高を「期末商品棚卸高」に設定する。このときの相手勘定を「商品」とし、来期の期首繰越高として設定する。 
    借方 貸方
      商品 000 000  期末商品棚卸高

    上記の売上原価算出方法には、仕入の記帳間違いや商品在庫の盗難及び管理ミス、又は期末商品棚卸に間違いがあっても、そのまま売上原価に反映され、少し問題のある方法と思いますが、会計処理の簡単なことから、ほとんどの企業が採用しています。

上記の売上原価算出方法には、仕入の記帳間違いや商品在庫の盗難及び管理ミス、又は期末商品棚卸に間違いがあっても、そのまま売上原価に反映され、少し問題のある方法と思いますが、会計処理の簡単なことから、ほとんどの企業が採用しています。
ただし、生産を主体とする会社や単価の高い商品を取り扱う会社では、三分方はそぐわなく、毎回の販売仕訳において商品の原価落を行います。
以上_